朝に向かって

愚痴。

ずっと昔にもらったしおりがある

金銀の大小さまざまな花を咲かせる、

朱色のお着物を着ている

おかっぱ頭で、黒髪の女の子の、

折り紙がついたしおり。

 

小学生の頃にもらったのか、

買ったのかも覚えていないけれど、

小学校のフリーマーケット?で買って以来、

ずっと家に置いてあった。

 

本なんか読まないし、読むとしても 一気に読んでいたから、

長い間、放置してしまっていたのだけど、

最近本を読むようになって使っている。

 

最初は家にあるしおりの一枚にしか思わなかったんだけど、

ふと本の文章から目を移してみると、

とてもきれいだ、と思って、

それから泣きそうになったんだよね。

 

冒頭に持ってきた下手くそな説明通り、

デザインも紙もとてもきれいなの。

そのきれいさに見ほれたのはもちろんなんだけど、

作った人の思いに感動したの。

 

紙のズレは一切なく、

紙のどの模様がどの位置に来るかをきちんと考えて折っている。

そうした丁寧さに感じ入ったし、

おばあちゃんが抱いただろう

「誰かがしおりを手に取らないか」という、

期待と寂しさに胸がギュとした。

 

優しかったおばあちゃん、嬉しそうだったおばあちゃん、ブースに1人でいたおばあちゃん。

あの時、いくつだったのだろう。もう十年以上前のことだ。

僕が考えたような、胸がギュとするような思いを抱えて、小学校に来ていたのだろうか。

 

ずっと忘れていて、ごめんなさい。

こんなにきれいなものを、僕にくれてありがとう。